2014年12月29日月曜日

こえシネマ第11回開催しました

2014年11月30日(日)15時から、せんだいメディアテーク7階プロジェクトルームにて、こえシネマ第11回を開催しました。

今回は、鈴尾啓太さんと岩崎孝正さんのお二人をゲストに迎えました。最初に鈴尾さんの『沿岸部の風景(2013年版)』を一部抜粋の形で上映し、後半に岩崎さんの『村に住む人々』を上映して、上映後に来場者同志で感想などを話し合いました。


自分の地元を撮影した岩崎さんと、被災地とそういったつながりが特にあったわけではない鈴尾さん。トークの中で、今回の2本は「撮影者と被災地との距離の違い」をテーマに選んだと進行役がお話ししたのですが、岩崎さんと鈴尾さんのお話を聞いていると、それぞれに映像を形にしていく中でたくさんの逡巡があったことが感じられました。
トークの締めくくりには「岩崎さんの映像が被災地と距離が近くて、鈴尾さんの映像が遠いというわけではなくて、2人とも近かったり遠かったり、一つの映像の中でもその時々で変わっていっているのではないか。」という感想が出てきて、まさにこの日の上映とトークを表した一言だなと思いました。その簡単には距離を処理できない揺らぎや葛藤は、私たちが日ごろ震災や被災地を思うときに感じるものと通じているのではないでしょうか。




いつもは来場者へのアンケートは行いませんが、今回終了後にアンケートを集めてみました。トークでは出なかった感想もいただき、大変参考になりました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

この日は2時間半と長い時間でしたが、岩崎さん、鈴尾さんには最後までお付き合いいただきありがとうございました。

2014年10月19日日曜日

★告知★第11回こえシネマ



今回上映するのは、土地や人びととの関係性が、それぞれ異なる2つの記録です。岩崎孝正さんは、震災直後に、東京から福島県の実家へ戻り、家族や友人たちにカメラを向けました。鈴尾啓太さんは、東京から東北に通い、沿岸部の風景と人を記録しました。

岩崎さんの映像には、僧侶である父親の姿や、友人たちとの会話など、ごくプライベートなやりとりが多く残されています。そこには、村が失ったもの、震災があっても連綿と続いていくものを記録しながら、被災した地元とどうにか向き合おうとしている記録者自身の姿が垣間見えます。

一方、鈴尾さんは、その土地や人に決して近づきすぎることなく一定の距離をとりつつも、光や風、人の表情や会話など、ささやかなことこそを映像にとらえています。そこに流れる時間や人びとの言葉は、外からの視点があったからこそ記録として残されたものであるように感じられます。

当日は、上映後に2人の記録者を囲んで、来場者同士で感想などを自由に語り合います。

◆開催日時・会場・お問い合わせ◆
2014年11月30日[日]15:00~17:30
せんだいメディアテーク7F プロジェクトルーム
参加無料 ( 申込不要 )

直接会場へお越しください。
お問い合わせ先:こえシネマ
 
 

上映作品1:
『沿岸部の風景(2013年版) 
監督:鈴尾啓太 撮影地:岩手県陸前高田市、福島県南相馬市小高区ほか 
撮影年:2011-13年 
作品時間:92分(上映時間は約30分ほどの予定)

震災により被災した海岸沿いに暮らす複数の人たちのスケッチ。僕が撮ったのは特定の場所や特定の人ではなく、偶然にまかせ出会う、異なる場所にいる異なる状況の人たちでした。

上映作品2:
『村に住む人々』
制作:岩崎孝正 撮影地:福島県相馬市 撮影年:2011-14年 
作品時間:48分

僕の生まれ育った村は海になっていた―東京での被災、郷里の相馬市磯部に戻り、家族や安否確認で出会う友人たちにあの日からのことを問いかける。そして3年。僧侶の父が執り行う法要、先輩後輩らが奉納して回る神楽。営みを続ける地域の姿を記録していく。


◆ゲスト◆
鈴尾啓太さん
1985年山口県生まれ。映像編集者。大学卒業後、カメラマン山崎裕氏の下で編集を行う。現在はおもにテレビドキュメンタリーの編集を行い、萩生田宏治監督や是枝裕和監督のテレビ作品にスタッフとして参加する傍ら、自主映画や劇映画の編集も行う。

岩崎孝正さん
1985年福島県相馬市磯部生まれ。震災後より、おもに福島の祭祀や地元の村の人々の活動を記録している。現在は東北芸術工科大学大学院デザイン工学部映像学科在籍。おもな作品に『福田十二神楽』(2013)『福島の光景』(2013~2014)など。

2014年10月18日土曜日

こえシネマ第10回開催しました


2014年9月28日(日)15時~せんだいメディアテーク7階プロジェクトルームにて、こえシネマ第10回を開催しました。

中谷可奈さん制作の「迷走する熊の子のその後」を上映し、上映後に中谷さん、被写体である板垣泰之さんに、参加者からの質問に答えていただいたりしました。

約半年ぶりに開催したこえシネマですが、初めて参加された方が多かったように思います。
人数もいつもより多かったので、ゲストに質問を投げかけてくださった方、発言はなくても最後まで参加いただいた方、いろいろなスタンスで見ていただいたと思いますが、みなさんの中に何かが残る場になっていれば嬉しく思います。

中谷さん、板垣さん、今回は準備段階からご協力いただき、ありがとうございました。




2014年8月11日月曜日

★告知★第10回こえシネマ

上映作品:『迷走する熊の子のその後』 
制作:中谷可奈 
撮影地:宮城県気仙沼市/ 宮城県仙台市 /福島県浪江町 /大阪府大阪市 
撮影年: 2013-14年 作品時間:30分


 

◆開催日時・会場・お問い合わせ◆
2014年9月28日[日]15:00~17:00
せんだいメディアテーク7F プロジェクトルーム
参加無料 ( 申込不要 )
直接会場へお越しください。
お問い合わせ先:こえシネマ
メール koecinema@gmail.com

わからないからこそ、記録し続ける。

 ノイズミュージックを叫ぶ主人公と、彼を記録する撮影者。震災後に仙台に住むこととなった撮影者・中谷可奈さんと、宮城県出身ながら震災当時は関西に住んでいた被写体・板垣泰之さん。彼らは、震災と関係があるようなないようなやりとりを繰り返しながら、東北沿岸部や大阪のライブハウスへと向かいます。

中谷さんが「迷走」と称する、ふたりの足取りの記録は、「震災を実感として捉えることができない」ことそのものの記録であるように見えます。そして、捉えられないがゆえの「わからなさ」の輪郭とは、あの日からどんどん記憶も気持ちも遠ざかる今の仙台のひとつの表情でもあるのではないでしょうか。

当日は、「迷走する熊の子のその後」の上映後、中谷さんと板垣さんを囲んで、来場者同士で感想などを自由に語り合います。
 

◆ゲスト◆
中谷可奈さん〈映像制作者〉
大阪市生まれ。京都の大学卒業、地域づくりのNPO等に勤務。その後、奈良とロンドンの大学で遺跡マネジメントを学ぶ。同時に、ドキュメンタリフィルム制作も学ぶ。2012年から地底の森ミュージアム(仙台市富沢遺跡保存館)の嘱託学芸員。板垣泰之と創作ユニットDAMUを結成、活動中。

板垣泰之さん〈出演者〉
仙台市生まれ。幼稚園の時に博物館で働くという夢を持つ。同時期にピアノを習う。奈良の大学で文化財保存科学を専攻する。2009年からノイズミュージックというジャンルに出会い、ライブ活動を開始。2012年より文化財関係の職に就く。現在、DAMUや個人で、仙台のさまざまなイベントに参加し活動を行っている。
 





2014年6月19日木曜日

今後の予定

次回のこえシネマは、9月の開催を予定しています。

詳細が決まりましたら、またブログでも告知します。

2014年3月23日日曜日

こえシネマ第9回開催しました

 
2014年3月9日(日)14時~せんだいメディアテーク7階プロジェクトルームにて、こえシネマ第9回を開催しました。

今回はYako Kimuraさんをゲストにお招きし、Kimuraさんがアメリカとフランスで撮影したインタビュー映像で構成された「Tango Karamarito」(「タンゴ カラマリート」と読みます。)という70分の作品を上映しました。

インタビューを受ける人たちから、東日本大震災に寄せる思い、それだけに留まらない日本への思いが様々な形で語られる映像は、見る側も受け取るものが多かったのか、上映後のトークではたくさんの感想が聞かれました。
出てきた感想も、震災体験の話から、教育のことまでいつものこえシネマにはないくらい多様な内容で、それら一つ一つにKimuraさんがご自身の体験を交えて丁寧に答えてくださいました。

こえシネマで、海外に住む人たちから見た東日本大震災の話を取り上げたのは初めての事でしたが、映像を見て感じた共感やとまどいを上映後にテーブルを囲んで話し合うことで、新たなことに気づくきっかけや考えるきっかけを得る時間になったように感じました。

Kimuraさんは海外と日本を行き来しながら記録活動をされているとのことで、お忙しい中こえシネマに参加いただきありがとうございました。



こえシネマが始まってから2度目の3月を迎えました。

これまで映像を提供していただいた記録者と、また映像をきっかけにいろいろな話をしてくださった参加者の方々のおかげで、少し形を変えながらも9回の上映会を開催することができました。

これまで私たちの活動にご協力いただいたみなさまに改めて感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

2014年2月12日水曜日

★告知★第9回こえシネマ



東北に暮らす人々と、日本国外に暮らす人々、それぞれの場所で震災と関わる人たちの言葉と風景を記録している「3がつ11にちをわすれないためにセンター」参加者のyako KIMURAさんをお招きし、これまでの記録映像や、現在記録中の映像などを上映します。また、記録者の活動の様子を伺いながら、来場者同士で映像の感想など自由に話し合います。

◆ゲスト:yako KIMURAさん◆
仙台市出身。1996年演劇留学のため渡仏。運動力学、ボディマインド・センターリング、フェルダンクライスなどの考え方を基盤にした基礎身体トレーニングについて学び、ジャック・ルコック国際演劇学校付属研究所(L.E.M)にて、2年間の舞台空間研究課程を修了した後、99年より舞台美術と空間演出の視点からも創作に関わる。現在はサンディエゴ(USA)にて空間演出、小学校でのアートプロジェクト等を行う一方、東日本大震災後は「社会空間に起こる動き」をテーマに模索、活動中。
 
◆開催日時・会場・お問い合わせ◆
2014年3 月9日[日]14:00~16:30
せんだいメディアテーク7F プロジェクトルーム
参加無料 ( 申込不要 )
直接会場へお越しください。
定員:20 名(いす席)
 
お問い合わせ先:こえシネマ
メール koecinema@gmail.com
 
 
★「としょかん・メディアテークフェスティバル -対話の可能性-」においてyako KIMURAさんの映像を7F スタジオシアターにて上映予定です。

2月 28日[金]16:20~「 intéressée -アンテレッセ-」82分
撮影地:岩手県/宮城県/アメリカ サンディエゴなど

3月1日[土]18:30~「 Tango Karamarito(試作版)」70分
撮影地:アメリカ サンディエゴ/フランス パリなど
 
せんだいメディアテーク「3 がつ11にちをわすれないためにセンター」サイト→ http://recorder311.smt.jp/

こえシネマ第8回開催しました

2014年1月25日(土)、ゲストに岩崎孝正さんをお迎えしてのこえシネマを開催しました。

今回は、福島県新地町に伝わる福田十二神楽の記録と、浪江町や南相馬の町並み、沿岸部の風景を記録した二本の映像を上映しました。

岩崎さんは福島県で記録活動をしているとのことで、今回はテーブルに地図を用意して、参加者全員で地図を見て場所を確認しながらのトークとなりました。

福田十二神楽の記録は、神楽に参加する子どもたちの真剣な表情や、宮司さんによる解説が丁寧に記録されており、100年ほど人から人に伝える形で神楽がずっと続いていることが新鮮な驚きとして見る側に伝わってきました。

これまでのこえシネマの中で、「震災の記録を後世に伝えるには、どうするのがよりよい方法なのか」という話はよく出てきましたが、「伝えて残していく」という点を、神楽の伝統が連綿と続いていることに重ねて見ると、福田十二神楽は一つの理想的な形なのではと感じられました。

岩崎さんは福島県相馬市に住み、今後も地元の記録などを撮り続けるとの事だったので、仙台ではなかなか知る機会の少ない福島の復興のことなど、また見る機会を作れたらと思います。
 
岩崎さんには遠くから参加いただき、ありがとうございました。